笑ってしまうくらいの5:30起き。通常の生活ではまずあり得ないだろう時間に風呂に入って、飯を喰う。たまには(余儀なくされてるだけですが)早起きもいいものです。
本日は、開聞岳のオンパレード。行程表に書いてある観光地の名称は全て異なりますが、いわば全部開聞岳借景じゃねえか、と知らない人はビビってしまうくらいの薩摩富士です。
添乗員さんが気を使ってくれて、電車到着時間を狙って行程の入れ替えをし、まずは西大山駅*1

ここはJR最南端の駅として有名な無人駅。昨日みた桜島とはうって変わって、おっとりとした感じを受ける山、開聞岳がどーんと聳えています。別名薩摩富士という名にふさわしいその姿は、まるで優しい観音様のようだなあとうっとりしてしまいました。

しばらくすると、1日数本しか運行しない電車が到着!時刻表を見て衝撃を受けましたが、うちの田舎の駅より本数が少ないのですね、ここは。そして、列車を見て満足した一行は、長崎鼻へとバスを走らせるのであった。

長崎鼻といっても、長崎でもなく鼻でもない。じゃあ何やねん!と問われると私もよくわからないのだが、岬的な地形を鼻に喩えたのでしょうか。まあ結局、詳しいことはわかりませんし調べもしませんが、とにかくここからも海ナメの開聞岳が拝めます。この日も暑く、南国ならではのフェニックスやらハイビスカスやらに囲まれた鄙びた土産物屋の婆さんを見ていると、日本ではない、東南アジアの微妙な観光地に来ているような錯覚に陥ります。「誰が買うんだこの外人マネキンが着ているアロハシャツは?!」とか「こんなところで帽子専門店やるか?!」とかね。
南九州は、30〜40年位前には新婚旅行のメッカとして熱海とともに栄えていたわけですが、時代の流れとともに、徐々に北海道や沖縄、海外等にお客を取られていきます。で、お客が来ない→儲けがない→設備投資するにも金がない、という悪循環の賜物のような建物や謎の看板などの光景が多く見られるのです。実際、私は鄙びた観光地が好きだし、無類の廃墟好きでもあるので、こういう観光地の方がミッキーランドとかよりも馴染むわけですが、若い人達ってこういうところに好んで来るかなあ…と考えると、このうらぶれ感ではなかなか難しいだろうな、と余計な心配をしてしまったわけでした。ここでは、マンゴー・紫いものソフトクリームがおいしいので、是非どうぞ。
次にバスはイッシーで有名な池田湖へ向かいます。イッシー…誰がその名を知っているのでしょう。ネッシー・クッシーくらいならまだ聞き覚えがありそうなものの、イッシー。そしてこの顔で我々を見下したかのように、毎日ニヤけているのである。

何コレ。しかも、イッシー以上に謎なのが土産物店「池田湖パラダイス*2」内に展示されている「大うなぎ」だ。天然記念物らしいのだが、このうなぎ様には何の魅力も感じないどころか、寧ろ気持ち悪さが先行してしまう感じ。どうですコレ?

あまり動かないので、正面から顔を捉えることはできませんでしたが、とにかく太くて長い。そして何より「おいしくなさそう」。天然記念物だから食用とかそういうのじゃないのでしょうけど、うなぎっつったら蒲焼だろ!って思うでしょう、普通。全然んまくなさそうなんだな、コイツは。イッシーや大うなぎがメインではなく、ここからは湖ナメの開聞岳が拝めます。

ということで、要は午前中いっぱいはほぼ開聞岳とともに過ごした時間でありました。
で、知覧へ向かうわけですが、知覧では「武家屋敷」「特攻平和会館」のどちらかを選ばなくてはいけないのです。我々は、旅の終盤に戦争とか悲しい歴史を目の当たりにして、テンションを下げたくないという思いから、武家屋敷を選択。そしたら案の定、他のグループも同じ思いだったのか「特攻平和会館」の希望者は0名だったのです。急遽、ガイドさんが案内してくれることになり、武家屋敷へ侵入。

ここは、世界遺産白川郷と同じような感じで、普通に人が住んでいるらしくあまりギャーギャー言って張り切って歩いてはいけない場所です。キレイに整備されたお庭を見て「日本庭園というものは、いいものだ」なんて、まるで老人のように感心していた。すると、こんな看板を発見!

…住人は案外関西仕込みの恐ろしい人物なのかもしれない。
武家屋敷からバスで5分くらいしたところに、食事処やお土産物屋さんが集まっている場所「知覧パラダイス」があり、そこで昼食。鶏飯は、鶏肉・錦糸玉子・海苔・葱なんかをご飯の上に乗せ、あつあつの鶏スープをかけていただく、奄美大島の名物料理。お茶漬けよりも味は鶏だけに洋風で、マコトにおいしいです!これだったら2〜3杯は余裕で食べれますね。食後、中に入って悲しい歴史を紐解きたくはないけど、外観だけ…と思い、特攻平和会館へ。きれいに整備された広場に、戦闘機。輝くような黄色のイチョウの葉が印象的でした。



バスは、今ツアー最終の立ち寄り箇所「かるかん・薩摩揚げ工場」へと向かいます。
そこまでの道中、バスガイドさんが知覧についての悲しい歴史を説明してくれた。知覧に来たら、この歴史なしには語れないという特攻隊員の短い人生とそれを支えた食堂のおばさんの話。出撃前に書いた兵士達の手紙の朗読や、特攻隊の気持ちを歌詞にした歌をガイドさんが説明とともに歌い、不覚にも泣きそうになってしまった(っつーか、泣いた)。15〜20歳くらいの男の子達が、片道分の燃料しか積まずに敵機へ突撃して玉砕する。一体、何が「お国のため」なのか全くわからない。指揮していた偉い人達に対して「テメエらの采配が狂ってたくせに、どうせ負けるのに、悪あがき的に人の命を無駄にすんなよ!」と、投票すらまともにできない非国民の私が珍しく特攻隊に思いを馳せてしまって、怒りと悲しみに震えてしまったのだった。
本当は、知らなきゃいけないことだと思うし、時間があれば寄りたかった特攻平和会館だったけど、どっちか選べって言われたら、悲しくない方を選ぶのが常。また来ます。
ここからはもうたたみかけるような感じで、旅は終焉を迎えるわけですが、その前にひとつだけ紹介。かるかん工場にあった自動販売機で買ったコーヒー。

財寶温泉の温泉水を使っているらしいのだが、財寶温泉なんて聞いたこともなく、何はともあれこの缶の渋さにやられて即買いしてしまったわけです。…味は薄かった。他にもゆずが入った飲物、水など「財寶」と大きく書かれた自販機は、他のお客さんにも大人気であった。味は薄いよ。
で、一同は阿蘇くまもと空港から伊丹空港へ。お疲れさま&かなり充実の2日間でありました。
個人的には、北海道より断然九州の方が好きです。東北人は南国に憧れるのでしょうか。まあ、いずれにせよまた行きますね、コレは。

*1:本当はこの日の最初は長崎鼻だったのです。

*2:何て素敵な名前なのでしょう。でも九州のパラダイスはここだけじゃないのです。…つづく