真っ白であった。

爺さんが死んだという連絡が来て、このままだと婆さんもつられて逝ってしまうのではないか、と家族で心配していた。「婆ちゃんはそんなに弱くないから大丈夫だよ」と電話で母が言う。私は大雪の中、どこに行くのかはわからないけど。実家の近くのバス停で母の車を待っている。横にいる人(婆さんなのか弟なのか父なのかはわからない)が「あ、お母さん来た」と言うけれど、吹雪がすごすぎて私には母の車が全く見えない。「どこに来てるの?どこ?」と尋ねても「ほら、もうすぐ来るから」としか言わない。「何で私には見えないんだろう」と言うと、その人は「それは迷いがあるからだよ」と言った。
白とグレーが混ざり合う東北の吹雪なんて、ここ何十年も見ていない。