大地が揺れた日。

何もできない、と思う。

実家が大変なことになっていた日、私はライブに行っていた。前からとても楽しみにしていたし、そのために仕事詰めてやってきたし、開催されるならそれは普通のことだと思ったから。
ライブはやはり楽しげにスタートし、私は未だ連絡がつかない家族を気にかけながらそれを見ていた。「心斎橋と震災がかかってるね〜今日は。東の方は揺れてるけどね」みたいなことを言ってるのを聞き、何て不謹慎なことを言う人なんだろうと訝しい気持ちになったけど、結局大阪にいてできることなんて何一つないし、そんなら今日この夜今のステージを楽しく有意義に演るという彼のスタンスは全然間違ってなかった。
私は私で、そうはいっても気が気でない部分もあり、この状況を素面じゃ楽しめないから、ビールを4杯も飲んだ。

それしか方法がなかった。

帰ってTVで、今まで見たことない、映画みたいな津波の映像が流れてて、私の知ってる街がやっぱり映画みたいに流されて一瞬でなくなっていた。私は全チャンネルで流れる映像を呆然と見ながら、見てるだけだった。
ほら、被災地の人より客観的に多くの情報を得ているのに、何もできないんだよ、こんなふうに。
ツイッターRTしても、ツイッターやってない人には届かないし、ましてや自分の両親なんて、携帯メールの返信もできないくらいで。
現地行っても邪魔になるだけだし、何かを送るにも国家レベルで動いている方が断然早い。

だから、変にあたふたしたりしないで、できるだけ普通に過ごすと決めた。
そして、暗い顔してても誰も救えないから、できるだけ笑って、自分の今やるべきことをちゃんとしようと決めた。

神戸は何もなかったように静かで、水も電気も快適です。私は仕事をしに会社に向かっています。