遠い空。

相変わらず実家は遠くて、空だけが障害物なく繋がってるのがありがたいやらうらやましいやらどうしようもないやらで。
今日、昼飯一緒に行った先輩が感情移入しまくって「今の仕事なんてどうでもいいから、帰った方がいい」と言った。「辞めるなら辞めてもいいと思う」とも。
辞める辞めない・帰る帰らない以前に、こちとら帰れないんだっつーのに「もしこっちに帰って来たくなくなったら帰って来んでいい」みたいな勝手な発言までされて、昼飯一緒に行ったのを後悔すると同時に呆れ果てて哀しくなった。
根本的に違っているのは、私にとっては関西は「帰って来る」わけではなくて「戻る」だけの場所だということ。帰る場所は被災地となっている実家で、それ以外ありえないということ。そして、向こうに帰って、関西に戻って来たくなくなっても、そのまま業務を放置して蒸発的に会社を辞めるほど私はヒトデナシじゃない、ということ。
「うんうん、わかる」とか言って、わかった体で人の心にズカズカ入って来るような人を、私は信用しない。
私は私でアナタはアナタで、それ以上でも以下でも体ない関係というか間合いを保ってください、と切実に願う。

とある日。

体調や運気も手伝ってか、なかなかココロの調子悪し。
GWは実家に帰りたいとか思いつつも、今のところマトモに辿り着ける交通手段がない。
山形空港から仙台行きのバス乗っても、仙台からのアプローチがない。
ほんなら弟に車で迎えに来てもらえばいいじゃん、と思ったけど、現地はガソリンないわ、きっと。
遠いとはわかっていたけど、辿り着かないくらい我が家が遠くなったのは初めてだ。
家族は明るく振る舞って身辺は何の問題もないと笑ったけど、未だに家の目の前はめちゃくちゃの瓦礫と泥の山だ。
笑いながら空飛んで、ひゅーんって、家族の元に着いたらいいのにね。

ホワイトデー?

いつも以上に意識がなかった。

昼過ぎに親友と連絡がついてひと安心するも、見るたびに増え続ける死者・行方不明者の情報に鬱屈するばかり。
だって、たとえ生きててもこれから復興するまではものすごく大変だろうし、死んでしまったらそれはそれで悲しすぎるし、どのみちしんどい思いをしなくちゃならない地元のことを考えると、やっぱりヘラヘラできにくいものなんです。
災害にかまけて悪いことする人は出てくるし、今夜から明日以降冷え込むって言ってるし、少しは被災者のこと思いやってもいいのに神様は意地悪すぎるし。
家族が被災しているので、いろんな人が労ってくれるのはありがたいけど、何回も悲惨な状況を説明しなきゃいけないのも結構辛いです。
なんか今日はすごく疲れた。

その後。

私の家族は無事で、配給を受けながらなんとか生きているようです。
すぐそこまで津波が来て、海岸沿いの家はほぼ流されてしまった。
弟からのメールで現場の写真を送ってもらったが、近所の見慣れた風景であるはずの場所が、見たことのない景色に変わり果てていた。
私の町の被害は甚大のようで、あの小さな町がNHKをはじめ各放送局で全国的に取り上げられているのを今も見ていて、不思議な気持ちになっている。ここで私が変な気持ちになっている今も、200人が孤立しているようです。早く助かって欲しいと本当に思う。
諸外国からもレスキュー隊と救助犬が来てて、対応の迅速さは大事なことだと思った。そして、改めて今回の災害規模の大きさを知り、知りながらもただただ呆然とTV見てるしかできない、この自分の無力加減も尋常じゃなくてどうしようもない。

大地が揺れた日。

何もできない、と思う。

実家が大変なことになっていた日、私はライブに行っていた。前からとても楽しみにしていたし、そのために仕事詰めてやってきたし、開催されるならそれは普通のことだと思ったから。
ライブはやはり楽しげにスタートし、私は未だ連絡がつかない家族を気にかけながらそれを見ていた。「心斎橋と震災がかかってるね〜今日は。東の方は揺れてるけどね」みたいなことを言ってるのを聞き、何て不謹慎なことを言う人なんだろうと訝しい気持ちになったけど、結局大阪にいてできることなんて何一つないし、そんなら今日この夜今のステージを楽しく有意義に演るという彼のスタンスは全然間違ってなかった。
私は私で、そうはいっても気が気でない部分もあり、この状況を素面じゃ楽しめないから、ビールを4杯も飲んだ。

それしか方法がなかった。

帰ってTVで、今まで見たことない、映画みたいな津波の映像が流れてて、私の知ってる街がやっぱり映画みたいに流されて一瞬でなくなっていた。私は全チャンネルで流れる映像を呆然と見ながら、見てるだけだった。
ほら、被災地の人より客観的に多くの情報を得ているのに、何もできないんだよ、こんなふうに。
ツイッターRTしても、ツイッターやってない人には届かないし、ましてや自分の両親なんて、携帯メールの返信もできないくらいで。
現地行っても邪魔になるだけだし、何かを送るにも国家レベルで動いている方が断然早い。

だから、変にあたふたしたりしないで、できるだけ普通に過ごすと決めた。
そして、暗い顔してても誰も救えないから、できるだけ笑って、自分の今やるべきことをちゃんとしようと決めた。

神戸は何もなかったように静かで、水も電気も快適です。私は仕事をしに会社に向かっています。

しばらく

休んでみます。

記録するならするで、腰を据えてちゃんとしたいので。
毎日机に向かって日々に感じたことや読んだもの・聴いたものを書き留めていきたいから、いけるように自分を仕向けてやっていきます。
とか言って、思うところあればすぐメモ的に書くでしょう。
とにかく、自分への記録として、今日思ったから書いてみた。

人並みに。

生きて行きたいな、と。

日付が変わる前後にやっと帰宅とか、土曜の出勤とか、持って帰って家で仕事とか、そういうのって一体誰のため・何のためにやってんだろーなーってつくづく思って。
身の丈以上の仕事抱えて、みんなが「お先に失礼します」っていうのを流し目で見ながらやり過ごして、結局私(達)だけ必死になっても、後輩・部下のしょーもないミスでゴワサン。
だったら身の丈でいいと思うんだよね。